春恋桜歌

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   「……う」   いつもの穏やかで甘い微笑  みでハッキリと言われて、純  平は自分ひとりのせいだと悔  やんでいたことが吹っ飛んで  しまった。いつの間にか涙も  止まっている。  「……俺のこと言いくるめて  ない?」   牧村の口車に上手く乗せら  れた気がしてならない。でも  そんな牧村にときめいてしま  うのだから、このまま一生頭  が上がらないだろうと純平は  思う。  「フフッ。純平君に笑って欲  しいだけだよ」  「答えになってないし」   きっと大きくなり過ぎたと  言う話も、自分のための作り  話なんだろうと純平は考える。  身を削って純平をフォローし  てくれる器の大きさに、惚れ  直してしまった。   純平からチュッとキスをし  た。感謝の気持ちを言葉以外  で伝えたかった。伝わったか  と、上目で牧村の顔色を窺う  と、幸せそうに微笑まれた。
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