記憶

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「しかし…」 「高野はそんな 心の狭い女じゃない。 お前の過去も今も 全部ひっくるめて 受け止めてくれるはずだ。 相談すんのは俺じゃなくて 高野だと思うぞ」 何も言えなかった。 近藤部長に言われる通り 俺は奈緒の前でだけは いつでも強い男でいたくて カッコ悪い自分なんて 見せたくなかった。 『女は愛嬌、 男はハッタリだ』 そう言って笑った父親の顔を 俺はずっと忘れられなかったから。
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