記憶

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それでも俺は信念だけは 捨てずに生きて来た つもりだった。 俺は俺だ。 どんな家柄だろうと 俺はあいつらとは違う。 そう思って来たのに。 さっきの自分は 紛れもなくあの家の血を 受け継いでいる証拠だ。 この会社を再建するためには ここで俺はまた己を捨て あの家の言いなりに なるべきだって事は分かってる。 綺麗ごとだけじゃ 生きて行けないのが世の中。 俺の信念だとか意地だとか。 そんなものは捨てなければ いけないって分かってるけど。 ───消せない迷い。
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