episode 119  船上のアミューズ ②

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「誰が何と言おうと、和樹は穢れない……あの子は真白だ。流されやすくてもろいだけだ!」 「いつまでも理想論ばかりほざいていろよ。あんたはロマンスがお好きなだけさ」 「傷つけるな。愛しているくせに」  歯に衣着せぬ言葉の応酬。 「子供の頃から一番近くにいるくせに。そんな風だから君は――和樹の心を捕えておけなかったんだ」 「何だとっ……!」 「いつも不安にさせるのは自分の心の弱さからか?不安を分かち合う愛なんて、彼は望んでいないと分からないか?」 「黙れ……」 「いいや、そっちこそ聞けよ。君は与えられなかった――あの子の望む愛を。そしてこれからも与えられない。どうしてだか分かるか?」 そして 徐々に剥き出しにされる 「君自身が――猛烈に愛に飢えた存在だからだ」  心の一番柔らかい部分まで。 「なんの根拠があってそんなこと……」 僕でさえ見た事もない顔して 征司は拳を握ったまま立ち尽くす。  「根拠だって!決まってるだろう」 九条さんは乱れた髪をかき上げると 狂ったように笑い出した。 「あの子が僕を選んだからだ。何があってもバカみたいに愛し続けることしかできない男をね――」 
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