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「誰が何と言おうと、和樹は穢れない……あの子は真白だ。流されやすくてもろいだけだ!」
「いつまでも理想論ばかりほざいていろよ。あんたはロマンスがお好きなだけさ」
「傷つけるな。愛しているくせに」
歯に衣着せぬ言葉の応酬。
「子供の頃から一番近くにいるくせに。そんな風だから君は――和樹の心を捕えておけなかったんだ」
「何だとっ……!」
「いつも不安にさせるのは自分の心の弱さからか?不安を分かち合う愛なんて、彼は望んでいないと分からないか?」
「黙れ……」
「いいや、そっちこそ聞けよ。君は与えられなかった――あの子の望む愛を。そしてこれからも与えられない。どうしてだか分かるか?」
そして
徐々に剥き出しにされる
「君自身が――猛烈に愛に飢えた存在だからだ」
心の一番柔らかい部分まで。
「なんの根拠があってそんなこと……」
僕でさえ見た事もない顔して
征司は拳を握ったまま立ち尽くす。
「根拠だって!決まってるだろう」
九条さんは乱れた髪をかき上げると
狂ったように笑い出した。
「あの子が僕を選んだからだ。何があってもバカみたいに愛し続けることしかできない男をね――」
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