episode 120  リトル・クーデター

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「すみませんでした。昨夜の事はみんな僕のせいです!」 一晩経ってようやく いつもの冷静さを取り戻したのか。 振り向きざま青い顔をして 満は僕に頭を下げた。 「何もなかった顔して入るといいよ」 戸惑う満の肩を抱き 僕は耳元に囁いた。 「で、でも……」 「いいから」 先を促して悪魔が集う 優雅なダイニングへと導いてゆく。 「教えてあげる。いつもみんなこう」 「え?」 「醜態を演じた翌日は何も覚えてないふりを」 満は目を丸くする。 分かるはずない。 常識からは逸脱してる。 「それが我が家のやり方さ」 だけどそうでもしないと僕らの場合――。 目も当てられない事態になるのは 周知の事実。 「ワインか薬か――頭痛のせいでもいい。とにかく君は何も覚えていない。いいね?」 これぞまさに 天宮家でしたたかに生きる知恵。
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