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「すみませんでした。昨夜の事はみんな僕のせいです!」
一晩経ってようやく
いつもの冷静さを取り戻したのか。
振り向きざま青い顔をして
満は僕に頭を下げた。
「何もなかった顔して入るといいよ」
戸惑う満の肩を抱き
僕は耳元に囁いた。
「で、でも……」
「いいから」
先を促して悪魔が集う
優雅なダイニングへと導いてゆく。
「教えてあげる。いつもみんなこう」
「え?」
「醜態を演じた翌日は何も覚えてないふりを」
満は目を丸くする。
分かるはずない。
常識からは逸脱してる。
「それが我が家のやり方さ」
だけどそうでもしないと僕らの場合――。
目も当てられない事態になるのは
周知の事実。
「ワインか薬か――頭痛のせいでもいい。とにかく君は何も覚えていない。いいね?」
これぞまさに
天宮家でしたたかに生きる知恵。
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