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「ブロンドの君は――人工的で飼いならされたような、また違った色気がある。彼らに見せないのは惜しいけど、正直このまま誰の目にも触れさせたくないぐらいだ」
僕の背後に立ち
バスローブの肩先を撫でながら
椎名さんは囁いた。
「僕、おいしそう?」
色素の抜けた髪を左右に揺らして
僕は食い入るように
鏡の中の自分を見つめた。
「ああ。バルテュスの描いた女の子みたいに」
「そんなに?」
「そうだよ」
鏡越しに視線を合わせながら
彼の饒舌な唇は
僕の首筋をそっとなぞってゆく。
「ン……」
ただでさえ音の響くバスルームで
椎名さんの鳴らすリップ音と
僕の掠れた吐息が重なる。
上げ膳は食わないと
宣言したばかりのくせに――。
「可愛いよ、ブロンドのおバカさん」
椎名さんの手は徐々に乱暴に
僕のバスローブの襟元を肌蹴けにかかる。
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