少年

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「うわああっ」 弘喜は驚いた拍子に懐中電灯を床に落としてしまい、その衝撃で故障したのか、洋館はまた暗闇に包まれる。 だけど、真っ暗なのに。 その鏡の“何か”はぼんやりと発光していて、弘喜には確かに“見えた”。 弘喜の足は恐怖からか、ガクガクとして、今にもその場に座りこんでしまいそうだ。 それをどうにか我慢し奮い立たせながら、ギリギリのラインで弘喜はその場に立っている。 そんな弘喜を見て、鏡の主が笑った様に見えた。 『……クク、主。 何か聞きたい事があったのだろう』 心の中を見透かされた弘喜は、鏡の主のその一声で遂にその場にヘナヘナとしゃがみ込んでしまった。 その瞳や、顔は恐怖で染まっていた。 何もしてないのに、震える体。 弘喜は鏡の主、一点だけを見つめる。 『どうした?我に問うてみよ』 「………あ」 『何だ』 「お、俺の、親父に余計な事言ったのは…お前か」 か細い声で、弘喜はそう鏡の主に尋ねた。……また、鏡の主が微笑んだ様に見えた。
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