少年

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『余計な事、ではない。真実だ』 「そんなわけない! だって、だって…その所為で俺の母親と親父は離婚したんだ!」 そう、この弘喜は以前ここに訪れた旭の息子だったのだ。 腰が抜けて動けないのか、弘喜はその場に座り込んだままだったけどハッキリと鏡の主にそう告げる。 弘喜は拳を作り、それを強く強く握り締めた。 爪が食い込んで、血が出そうだったが怒りを鎮められる場所がそこしかない。 もしも、今弘喜が動けていたならば鏡を壊していただろうから。 『で、再度真実を問う為に我の元へ訪れた訳か』 「…………」 (何でもお見通しか…) そう、心の中で弘喜は諦めたかの様に思った。 弘喜は結局、自分が誰の子供かわからなかったのだ。 離婚する前から、毎夜続く両親の口喧嘩。 幼いながらも弘喜は、その言葉を何となく理解していた。   “弘喜はあいつとの子供だろ!” “弘喜はあなたとの子よ!” 何度も続く、いつまで経っても平行線なその会話。 交わる事は結局、一度もなく。 そして、二人は離婚という結論に至った。
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