少年

11/11
前へ
/46ページ
次へ
だけど、こうして。 長い年月を経て、それは“真実”へとなった。 真実のみを告げる鏡の主。 あれは、天の邪鬼でもなんでもなく。 ただの、真(まこと)だったのだ。 例えば、あの日旭に弘喜が子供でないと言ったのならば。 弘喜は旭を父親とは思わなかっただろう。 離婚するのも苦しまず、すんなりと言ったのかもしれない。 嘘をも真にしてしまう、その事実を目の当たりにした鏡の主はまた考えるだろう。 『……人間とは…不思議なモノだ』 ぼそっと呟くと、また鏡の主は奥深くに消えて行く。 また人が訪れる、その日まで。            Fin.
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加