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何もわからない由香里が、父親を憎むように仕向けた母親に対して。
出て行った事が真実だとしても、それをまだ何もわからない由香里に教える内容ではないからだ。
(…まあ、今聞いても母親を恨むだろうけど)
由香里は暗い洋館の中を進みながら、そう心の中で思う。
友達もいなく、家に帰っても一人だった由香里は携帯で様々なサイトを見ていた。
そこで見つけたのが、この洋館の噂だった。
都市伝説の様なモノだと最初は思っていた。
だけど、そこに書かれたモノは具体的且つ、信憑性が高く、もしかしたら本物かもしれない。
そう、由香里は思ったのだ。
(“何でも答えてくれる鏡”か…)
由香里の見たサイトでは、本当は彼氏は私を愛していなかっただとか、自分の子供じゃなかっただとか。
そんな内容が記されていた。
そこには決まって、洋館最奥の自分の身長よりもでかい一枚の鏡の中に住人がいると書かれていた。
鏡の住人は、何者かわからない。
ただ、ぼんやりと“何かが”そこに映ると。
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