利美

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『聞きたいことはそれだけか』 今度は鏡の声が茫然とする利美に問いかける。 利美は何も答える事が出来ず、ただ涙をぽつりと流した。 『何故、泣く』 「悲しいからよ」 『何故、悲しむ』 「愛してたからよ」 『お前はこれから愛する人と巡り合えるのにか』 「それでも!!」 利美はキッと、鏡の中にいるぼんやりとしたものを睨みつけた。 「“今”は悲しいのよ!!」 そう、強く、叫ぶように言うと利美は立ち上がって走ってその洋館を飛び出した。
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