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肩に下げてたタオルで顔を隠す。
「唯乃さん?」
火照った頬なんて似合わなすぎて見られたくない。
「…も、行くから」
「どこへ?」
「どこだって良いでしょ。朔タローには関係ない」
こんな自分を見せたくない。こんな自分は…恥ずかしいから。
途切れた会話に、隠す頬の赤み。歩き出した足音は静かに響く。
「…唯乃さん」
ポツリと零れた切なげな声に気付かないフリをして足を進めた。
ズキ、ツキ…と胸が痛む。罪悪感?何これ。
痛い痛い痛い。
「…しんどい」
こんなにも恋って厄介だったっけ。こんなに苦しくて体力使うモノだったっけ?
これ以上、踏み込むようなことはしない。そう固く誓ったから。
だからもう……これ以上苦しいのは懲り懲りだ。
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