バレンタイン

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「宮園様は食べないんですか?」 「要らねぇ。俺はこっちでいいし」 『こっち』と言いながら宮園様が再びベッドの端に座り、ピンクのハート柄のラッピングの包みを俺の前に掲げた。 アレ、その見覚えのある包みって……。 「メッセージカードまでやたら可愛いの使ってんな。つーか『ユイちゃんへ』って何だよ」 「俺のだ~!」 メッセージカードを見つめながら、宮園様がニヤニヤと笑っている。 「それは山本先輩が用意してくれた物で、使わないと申し訳ないかなって……」 というか、何で宮園様が俺の用意したプレゼントを持ってるんだ? 見つからないように隠してたのに……って、そういえばクローゼットの中に隠してたんだっけ。 「あの、俺、お菓子作りはあんまり得意じゃなくて」 「そうなのか?」 「でも、一生懸命作ったんです。宮園様に喜んでもらいたくて……」 .
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