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「山本先輩に頼まれたんです。参加者が少ないと盛り上がらないから、一緒にやろうって」
「それで何で女装?」
「女装して『恋しいフォーチュンサブレ』を踊る事になったからです。振り付けはまだ全部覚えてないんですけど」
男子校での余興と言えば女装だね、とは山本先輩の意見。
実際ガタイのいい生徒が女装して大ウケした事があるらしい。
俺が今ここで衣装であるヒダスカートを履いているのは、サイズが合わなかったら勝手に直していいと言われていたから。
少し大きいから、直そうかウエスト部分を折り返して誤魔化そうかと試着して考えていたのだ。
「何か、似合わねぇな」
「当日はこれにウィッグを着けるので、少しはマシになる筈です。それに、俺は後ろの方で踊るだけなんで」
ちなみにセンターは山本先輩だ。
言い出したのは山本先輩だからね、一番前で恥をかいてもらおう。
「つーか、この格好で人前に出るのか?」
「え、そんなに変ですか?」
翼みたいに可愛い顔立ちなら女装も似合うだろうが、俺みたいな平凡顔だと女装しても似合わないんだろうな。
いや、似合わなさ加減を笑いにするには、その方がいいのか。
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