プロローグ 11月5日(月曜日)

11/83
前へ
/564ページ
次へ
上から二つ目の机の椅子に腰かけながら、 見慣れた背表紙を着けた本を読む友人に話しかける。 「なぁマサ。 どうして俺は放課後に一人、 教室の掃除をしているんだと思う?」 その問いに、 マサこと崎本雅信(キシモトマサノブ)は本に栞を挟みパタンと閉じると、 「そりゃあ翔、 決まってるさ。 恭子先生にあんなこと言えば、 掃除ぐらいやらせたくなる」 そう言って、 メガネの縁を中指で押し上げた。 無機質なナイロール形メタルフレームに、 テンプルの色も黒と無機的かつ知的な印象を与えるそのメガネは、 まさにインテリメガネだ。
/564ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加