お化け屋敷の達磨

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 門のそばからお守りが落ちていないか覗くけど見えない。もしかして中に落としちゃったんだろうか。少しだけ庭に入ってみると、お守りはすぐに見つかった。ひもが切れていた。  縁起悪いなって思って門の外にでると、いつの間にかそばに車が停車していた。窓を開けて、中から男の人がこっちを見ていた。  太った、二重あごの男の人だった。私は無視していこうとした。 「みくちゃん。」  男の人が言った。私の名前じゃない。私は走った。  一年生が黄色い旗を持った引率のおばさんと一緒に来るのが見えたので、その中に混ざると車はそのまま通り過ぎて行った。  なんなんだろう、すごく気持ち悪かった。  学校に行くと、私を見て女子はにやにや笑った。でも私は気にならなかった。 「工藤さん、お化け屋敷どうだった? 」  私に話しかけたのは沢城という名前の女子だ。何故か知らないけど、私に嫌がらせが始まったのは彼女からだった。 「ちゃんと入った? 中見てきた? 」  にやにやしながら言ってきた。私がどう答えようかと思っていたら、康代ちゃんが言った。 「誰も来なかったから帰ったよ。」 その時、沢城と周りの女子たちが笑うのをやめた。 「ひどいよ。一緒に待ってたのにね。」  康代ちゃんが私に言うと沢城は慌てて言った。 「だって、あそこ行っちゃいけないって言われてるし……。」 「でもみんなで行こうって言ったじゃない。約束したでしょ。」  康代ちゃんはそう言って、席に着いた。先生がちょうど来て授業が始まったからみんなばらばらと席についた。  その日の放課後、康代ちゃんが一緒に帰ろうって言ってくれて、私たちは他の女子たちがぽかんとしているのを無視して帰った。沢城は私のことを睨んでいた。
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