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「お祖父ちゃん、お帰りなさい。こちら友達の工藤さん。」
「こりゃどうも。」
康代ちゃんのお祖父さんは頭を下げたので、私も頭を下げた。
「工藤さんちの子か。菓子はうまいか? 」
「はい、美味しいです。ごちそうさまです。」
お父さんと違ってにこにこ笑ってお祖父さんは言った。
「礼儀正しい子だ。康代も見習わんとな。」
ぽんぽんっと康代ちゃんの頭を叩いてお祖父さんは言った。
「わたしよりもお父さんだよ。眠いからってぶすっとしてさ。工藤さん怖がらせちゃうんだもん。」
「そうかそうか、しょうがない奴だな。」
お祖父さんはそう言いながらまた笑った。
「祭りが近いと寝る暇もないからな。わしも少し寝たらまた出るが、康代もちゃんと宿題しろよ。」
そう言ってお祖父さんは行ってしまった。
ケーキをごちそうになって私はお礼を言って帰った。途中まで康代ちゃんが見送ってくれた。十字路に立つと康代ちゃんが手を振った。
「工藤さん、また食べに来てね。」
私は、康代ちゃんに笑いかけられて言った。
「なんで、私のこと誘ってくれたの? 」
康代ちゃんが天然でも、私が他の女子に嫌われていることを気付いているだろうと思った。
「工藤さんのこと好きだなって思ったから。」
康代ちゃんは笑顔で言った。
私はぽかんとした。
「だって、約束守ってくれたから。わたし、約束守らない人大っ嫌い。」
笑ったのに、康代ちゃんの目が少し怖いと思った。
「また遊ぼうね。」
私は約束をして家に帰った。
その日、夕食の前にお祖父ちゃんとお祖母ちゃんにチーズケーキをもらったことを言うと、二人とも驚いた。私がとんでもないことをしてしまったような顔をして、もうご飯もついでいるのに私の手を取って三人で康代ちゃんの家に行った。
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