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「ちょっとー!その反応は何なわけ?このプリチーでキュートでビューティフォーなレイン様がせっかく挨拶してあげたのに!」 文句を垂れながらも肉を異常な速さで掻き込むこの少女は、いわゆる、俺の妹だ。 ただ血は繋がってなくて、この酒場、もとい、ギルド『祝杯の下』のマスターをやっているブレイズ・アンブラーに3年前に引き取られた孤児だ。 かく言う俺も6年前ここに拾われた。 正直親の顔なんて少しも覚えてないし、ここでは楽しい毎日を送っているから、孤児であることに劣等感を抱いたことはない。 などと説明している内にレインは肉を平らげたようだ。 「だいたいカインは私より弱いくせに兄貴面してムカつくし、この前だって・・・この前だって・・・うぐっ、うわーんわーん。」 急に泣き始めたが気にしない。いつものことだ。 「カイン。」 いつもは温情溢れるその声に、一角の鋭利なものを感じ、恐る恐る後ろを振り向く。 そこには、先程説明に出てきた『祝杯の下』のギルドマスター、ブレイズ・アンブラーがいた。
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