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ギルマスは、レインの頭を愛おしそうに撫で、俺を一瞥する。 「思えば、レインがここに来てから3年も経つんだね・・・。カインもレインも、もう14になりましたので、世界について勉強してほしいのです。」 急に降って湧いた『世界』という単語に、無意識の内に首を傾げる。 「世界?依頼であっちこっち行ってるから、そこらのガキよりかは分かってるつもりだが?」 ギルマスは、コーヒーの入ったカップを持ち、幾ばくか香りを楽しんだ後、カップを降ろして言う。 「ギルドというのは、一つの閉鎖空間でもあるんですよ。」 飲めよ、とつっこみたかったが、長話が始まりそうだったので我慢する。 「依頼を受けて、目的地に行って、依頼を達成して、ギルドに報告する。今のままじゃ世界の上辺しかなぞれません。」 我慢できなかったので言う。 「それなら学園に行ったって同じじゃねぇか!むしろ学園の方がギルドよりも活動範囲は狭いし閉鎖的だ。」 ギルマスの言っている事は矛盾している。
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