1 : ゼロの少女

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――……全く、ふざけないで欲しいわ。何がメルジェフ・リコン(ゼロの少女)よ! 確かに全属性者(ペント・ニケーラ)として生まれながら何の能力も持っていない私だけど、だからといってこんな名前で呼ばれたいだなんて普通は思わないわよ。それとも、私が普通じゃないとでもみんな思ってるのかしら。 私は公園のベンチに座り込んだまま、このもやもやとした苛立ちを押し殺していた。悲しかった。私だって能力が欲しかったのに…… ちょっと前までは属性で差別があったとか言われてる。この時代だったら私みたいな全属性者はそれだけで一目置かれてたんだから。 でも今じゃそんな差別的な見方なんてしない。属性より能力、そんな風に見られてる。良く言えば能力主義、悪く言えば能無しの切り捨て。そんな中で、能力のない私は間違いなく最底辺の部類だった。 持って生まれる属性は自分で選んで生まれられない。でも、能力なら成長しながらでも身に着けられるはず。 それに全属性者なんだからどんなタイプの能力だって持てるはず。空を飛ぶのだって、海の底を歩くのだって、もしかしたらとても素敵な能力を持てるに違いない。 そう思ってたのに……
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