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「グヘッ!」
口なんてものが存在しているのか怪しくなるほどに、真っ黒な姿へと変わり果てたそれは、フィーリアの魔法により窓の外へと打ち出された。
それを後ろから見ていたメルとライトは苦笑いをしている。
先ほどの黒い物体の正体はレッド・オウス。
この学園で1番の問題児だと教員達からも判子を押されている生徒だ。
周りからの印象は、馬鹿な変態。
その印象は根深く、学園にいるものは勿論。
国内の誰もが知っている事だった。
伊達に全女子生徒のスカートをコンプした訳では無いのだ。
キーンコーンカーンコーン
「皆おはよう。ほら、席に付きなさい!」
校舎に響き渡る鐘の音と共に、スーツに身を包んだ女性が教室へと入ってくる。
彼女の名はサラ・ミンティア。
このクラスの担任である。
サラの声がクラス中に聞こえ、生徒たちは各々の席へと座りはじめる。
「ごぉるぁあああ!フィーリア!いてぇじゃねーかっ!」
ガシャン!とサラの入ってきた方とは逆の扉が勢いよく開き、レッドが叫びながら入ってきた。
先ほどまで真っ黒だった筈の身体は、元の姿を取り戻しており
もともと黒色だった髪は元気良くはねていて、何故か制服までも新品同様だ。
そして彼の黒い瞳は1人の少女へと敵意全開で見開かれている。
「おい!聞いてんのーーー
「レッド。お前はまた遅刻か?」
フィーリアへ文句を続けようとした時、レッドの後ろから額に怒りマークをつけたサラが現れた。
ギギギギギー
レッドは油を差し忘れたカラクリ人形の様な音を鳴らしながら、後ろを振り返る。
其処には、阿修羅(の様なオーラ)を背負っているサラの姿が……。
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