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「グヘッ!」
本日2度目となる紐なしバンジー。
今更ではあるがこの教室は4階にある。
そんな高さからクラスメイトが落ちていったにも関わらず、この教室内にそれを心配する者は1人としていなかった。
しかしそれも当たり前なのかもしれない。
このクラスになってから…いや、彼が転校して来た2年前から、この風景は変わらないのだから。
2年前より成長した自分や友達、クラスメイトも進級する度に入れ変わるが、レッド・オウスと云う人格は何一つ変わらない。
昨日までと同じ平常運転だ。
女性からは軽蔑する目で見られ、男子からは時折尊敬される。
そして性別、年齢を問わず変態と呼ばれて来たレッド・オウスはまるで時間に取り残されたかの様に変わることが無かった。
まぁ、それは他人から見たレッドについてなので、彼にも何処かしら変化があるのかもしれない。
しかし、それを見抜けるものは少なくともこの学園には居なかった。
彼には友達がいない訳では無い。
どちらかと言えば多い部類に入るだろう。
浅く、広く。そんな言葉が彼には似合うのかもしれない。
恋愛については言わずもがな皆無である。
レッドが特定の人を好きになった所は想像しにくいし、レッドの事を好きになる女の子が居るとは考えられない。
別に顔が悪いわけでは無い。
むしろ整っている方だ。
それでも言い切れるのは、やはり彼の行動に問題があるからだろう。
「さて、邪魔者も居なくなったし、連絡事項を言うぞ」
サラは何時もの調子に戻り、今日行われるある事についての重要な連絡を始める。
当然、その事がレッドに伝わる事は無かった。
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