最終序章

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最終序章

一歩も引けないこの局面… 魔力も尽きかけ…先刻受けた左腕の傷は、動くことを拒絶する 楽天的な俺でも、正直、絶望だ… 「…カルラ…諦めちゃ…だめ」 近くに倒れていた、エルが… 「カルラ…まだ、闘える…私の…」 恐らく、俺より負傷している、その体を…鋼のような意志だけで、起き上がらせる 「お、おい…お前、起きたら…」 エルの体を支えようとしゃがむが、自分も体勢を崩す 「私…の…最終魔法…受け取って…!」 エルの使う治癒魔法…最終 それは、自分の魔力を全て使って放つ 本当の最終魔法 魔力は尽き、2度と回復しない それを、放つと言うのだ 「馬鹿なことは止めろ!自ら精霊の加護を手に入れたのに、それを、捨てるのか!」 魔力は先天性と後天性の二種類ある 生まれ持つ者と、生死をさ迷うような修業の末、身に付ける者だ エルは、後者に当たる 「捨てる…んじゃ、ないよ…た、くす…っだよ…」 最早、喋ることもままならない エルは虫の息と言う言葉のそれだ 「もう良い!喋るな!そんなことより、自分の傷を癒せ!」 『ふふふ…さもは、美しき愛か…真に、人間とは面白くさせる…』 カルラは向かいに立つモノを睨み付けた 「てんめぇ…」 『女、面白いぞ…暫し待ってやる…はよう、その最終魔法とやらを見せてみよ…』 余裕に満ちたモノの微笑は、神経を逆撫でる 「…余裕、ね…この時間を与えたこと…後悔するわよ…」 すると、エルはもう一度体を起こし、カルラの傷付いた、左腕に抱き付いた 「お、おい!」 カルラは、これが、最終魔法に必要な事だと分かっていても 不謹慎だが、思わずにはいられなかった とても柔らかいっ! エルの体は細身で、女性らしい膨らみは乏しいと言える しかし、彼女も女なのか、体は引き締まりながらも、柔らかかった 「精霊達よ…聞いて…今、我は…汝たちとの契約において、最終契約を発令する…」 エルの、詠唱…と言うよりは、精霊達との対話が最終魔法を告げる 「我は、汝らに我が持つ全てを捧げ、渇望す…」 エルの言葉に精霊達が集まる 「カルラに…選ばれし者に…再起の力を!」 激しい緑光に包まれ、カルラは力がみなぎるのを感じた 「へへ…最後くらい…良いよね…」 チュッ エルは、カルラの唇に自分の唇をかせね 力尽きた
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