人にはそれぞれ譲れないものがある。

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1限目の始まりを知らせるチャイムが鳴り、訓練所へと集まった生徒達は先生からの注意事項を聴き終え 今は先生に呼ばれた者から順番に召喚を始めている。 因みに順番はレンディ先生の決めたもので、成績の良い順みたいだ。 カナは3番目に呼ばれてグリフォンと呼ばれる上級の使い魔を召喚してみせた。 朝から余裕をみせていたカナもやっぱり緊張していたのか、召喚を成功させた後私が声をかけようと近ずくとホッとしたように一つ息をこぼしていた。 その後も召喚は進んでいき、途中戦闘を要求されたりとハラハラした時もあったが大事には至らず順調に順番は回って来た。 私が呼ばれたのはクラスで最後。 魔力がないことで落ちこぼれのレッテルを貼られた私は、筆記では良い成績を残せても実技を優先するこの学園に置いて、やはりと言うか全体の成績も悪くなる。 「次、マリー・アルフォート」 名前を呼ばれ、早かった鼓動が一層高まる。 「は、はい!」 余りの緊張に押し潰されそうになりながらも一歩、また一歩と召喚の陣まで歩く。 途中でカナに「頑張れっ!」と応援されぎこちなくも笑みを返し、そこでクラス中の皆が私の召喚に注目していることに気がついた。 皆、魔力を持たない私がいったい”何を”召喚するのか興味が有るのだろう。 先生の隣まできて、召喚の陣を見下ろす。 それぞれが多用の意味を持つ文字が一種の模様となった図形達を囲んでいる。 震える手を鼓舞し、先生のから渡されたナイフで指先を切り陣へ垂らす。 瞬間、今までの生徒達とは比べ物にならない程の光が陣から溢れ出した。
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