人間諦めが肝心と言うけど、結局は負け犬発言だと思う。

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マ・カ「え!」 ネル・ケイスト・フラン、その名前に私とカナの二人は反応し、驚いた。 幼い頃から天才と呼ばれ、9歳にして上級魔法を唱えたと噂される王国三大貴族の内のフラン家の長女。 しかし、その内に秘めた膨大な魔力により魔力五感損失症と呼ばれる恐ろしい病気を患い、数年前に世間を騒がせた。 その少女が彼女ネル・ケイスト・フランなのだ。 マ「ぁ」 少女の閉じている目、あれはもう見ることが出来ないのだと知る。 少女はあはは、と笑う。 胸が痛んだ。 噂でしか知らなくて、今まであまり気にもしてなかった。 だけど目の前の気丈に振る舞う少女を見るとどうしようも無く胸が痛んだ。 カ「私はカナル・ノブァよ。よろしくネル」 カナが自己紹介をする。 そうだ!私も言わないと! マ「私はマリー・アルフォートです。この子は使い魔のクロ。よろしくねネルちゃん」 私の名前を聞いたネルがピクリと耳を動かした。 彼女も同じ学園の生徒ならいくら中等部と言え、私の噂くらい聞いているだろう。 ネ「そうでしたか、クロって名前なんですね」 マ「えぇ??そっち??」 思わず聞き返してしまい、慌てて口を手で覆う。 隣でカナが呆れた目線を送ってくるのが見なくてもわかった。 ネ「そっちとは、…あぁ」 理解したのかネルは右手をグー、左手をパーにしてポンッと叩いた。 ネ「あの魔力が無いって噂の先輩でしたか」 瞼の閉じた顔が此方を向く。 彼女のストレートな言葉に息を飲んだ。 ネ「……魔力って、めんどくさいですね」 マ「え……?」 普段とは違ったその返しに私は戸惑い何も言えなかった。 ネ「多すぎると僕の様な病気を患い、少なすぎると…、あ!別にマリー先輩のことを悪く言っている訳では無くてですね?えっと…」
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