男にだって二言くらいあるさ。

3/13

127人が本棚に入れています
本棚に追加
/97ページ
カチカチと時計が時間を刻む僅かな音が部屋に響く。 そんなことなど毛程にも気づかないほど俺は集中していた。 黒「もう少し…」 既にマリーにかけられた封印はその効力を失い、俺は其処に新しく封印をかけていた。 マリーの多すぎる魔力を抑制する封印。 96億なんて言う馬鹿げた魔力を、一般と変わらないくらいに抑えてくれる封印だ。 黒「これで……おわりっと!」 漸く封印をかけ終える。 無事に成功し、ホッと一安心する。 そこで、安心した自分に自嘲気味に笑いがでた。 黒「ハハ、失敗なんてあり得ないけどな」 自分の力の無茶苦茶さに笑いがでてくる。 そもそも俺には魔力なんてものが無い。 創ることは可能だが、そんな必要も無かった。 今の俺はそこら中にある魔力を操る事ができる。 空気中でも、他人の中にある魔力でも、マリーにかけられた封印に使われている魔力だって関係ない。 それも完璧に、ミスなんてない。 ここまでアシストされてなお、緊張していた自分の肝っ玉のちいささに虚しくたった。 マ「ん、…クロ」 急に名を呼ばれ体がビクッと震える。 恐る恐るマリーを見ると、お約束と言いうかなんと言いうか寝言だった。 寝言とはいえ、自分の名前を呼ばれたことに嬉しくなっていると、マリーの閉じられた瞼から一筋の線が落ちた。 マ「クロ…いっちゃ……やだ…」 ……。 全く、我が主様は夢の中でも俺を探しているらしい。
/97ページ

最初のコメントを投稿しよう!

127人が本棚に入れています
本棚に追加