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カチカチと時計が時間を刻む僅かな音が部屋に響く。
そんなことなど毛程にも気づかないほど俺は集中していた。
黒「もう少し…」
既にマリーにかけられた封印はその効力を失い、俺は其処に新しく封印をかけていた。
マリーの多すぎる魔力を抑制する封印。
96億なんて言う馬鹿げた魔力を、一般と変わらないくらいに抑えてくれる封印だ。
黒「これで……おわりっと!」
漸く封印をかけ終える。
無事に成功し、ホッと一安心する。
そこで、安心した自分に自嘲気味に笑いがでた。
黒「ハハ、失敗なんてあり得ないけどな」
自分の力の無茶苦茶さに笑いがでてくる。
そもそも俺には魔力なんてものが無い。
創ることは可能だが、そんな必要も無かった。
今の俺はそこら中にある魔力を操る事ができる。
空気中でも、他人の中にある魔力でも、マリーにかけられた封印に使われている魔力だって関係ない。
それも完璧に、ミスなんてない。
ここまでアシストされてなお、緊張していた自分の肝っ玉のちいささに虚しくたった。
マ「ん、…クロ」
急に名を呼ばれ体がビクッと震える。
恐る恐るマリーを見ると、お約束と言いうかなんと言いうか寝言だった。
寝言とはいえ、自分の名前を呼ばれたことに嬉しくなっていると、マリーの閉じられた瞼から一筋の線が落ちた。
マ「クロ…いっちゃ……やだ…」
……。
全く、我が主様は夢の中でも俺を探しているらしい。
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