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ネルは先程解いた魔法をもう一度自身にかける。
色の無い世界が帰ってきて、やはり見えているのと見えてないのとでは大きく違い少し安堵する。
「驚いたな、流石天才と言われるだけはあるかな?」
気づいたのは魔法によって底上げされた聴力。
そして魔法による視覚擬きには窓の外に人の姿を捉えた。
ネ「っ?」
それは窓の枠をでてすぐに自分と相対する様に浮かんでいた。
「っと、驚かせたな」
音も無く此方に近寄ってきたその人に、ネルは咄嗟のことで反応できず窓から一歩離れることで精一杯だった。
ネ「(聞いたこと無い声)」
聞き覚えの無い声にネルの心を恐怖が覆っていく。
ネ「(に、にげっ
「ああ、逃げないでね。俺は怪しい者じゃ無いから」
窓の枠に足をかけた怪しさ満点の不審者に考えていた事がばれて、さらに焦りが募っていく。
しかし此方のことは御構い無しに、その人は声色を変えること無く恐らくネルにとって1番衝撃的な事を言った。
「こんばんわ、貴方の病気を治しに来ました」
ネ「………」
自分より幾つか年上と思われる男性の声に、ネルは逃げることも忘れ思考が停止した。
ネ「(この人は今、何て言った?病気を?誰の?治す?誰が?)」
頭の中を占めていた恐怖が怒りへと変わっていく。
ネ「ひ、人の気もしらないでっ!そんな事言わないでっ!」
気づけば、そう怒鳴っていた。
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