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ネ「この病気は!もう治ることは無いんですっ!失った物はもう手に入れられない。貴方が誰かは知りませんが、貴方の様な方は何人も見て来ましたっ!」
ネルの家は王国の中でも王の次に名を残す名家、三大貴族との伝を得ようと何人もの人がネルの家にやって来た。
元々病気を治すつもりは無い。
魔力五感損失症に関する情報を得たら直ぐに教えるから、と。
まだ幼くも天才と呼ばれた少女はわかっていたのだ。
自分のせいで両親に多大な迷惑がかかっていることも。
両親だけでは無く、周りの多くの人達にも火の粉が降り注いでいるのも……。
わかってた。わかってたけど……。
両親も領地の皆も、何時だって笑顔でいてくれた。
そんな優しい皆に言えるだろうか?
貴方達の優しさが辛いと…。
ネ「貴方達みたいのがいるからっ!」
僕が生きているから…。
ネ「僕の大好きな人達が苦しんでるだっ!」
今まで溜め込んでいた気持ちが爆発し、自分の気持ちを制御出来なくなっていた。
目の前の男性にその全てを吐き出していく。
男はなにも言わないままネルの罵声とも言える言葉をただ聞いていた。
ネルは”身体が熱くなっていき、段々と自分の声が大きくなる”のを感じながらも怒りに任せて怒鳴り続けた。
言い続けること30分、ネルの勢いが落ちていき、それに合わせ漸く男が口を開いた。
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