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「で?」
最初と全く同じ声色のその言葉に、ネルの収まりかけた興奮がまた高まっていく。
所詮は他人事。
だけど、自分の気持ちを全て知った上で言われた事にどうしようも無く腹が立った。
ネ「なっ!ーー
「あー!わかったから、ネルの気持ちは痛いほどよーくわかった!」
言葉を被され、文句のタイミングを失う。
「えーと、つまり病気を治すことは諦めてるし、自分の所為で他人に迷惑もかけてるのでいっそ死んでしまいたいとすらおもっていると?」
眈々と男が自分の本心を言い、ネルは小さく頷いた。
男が大きなため息をつく。
数秒ほど二人の間に沈黙が流れ、それを破ったのは男の一言だった。
「俺はなシリアスが嫌いなんだ」
シリアス?先程まで知りもしなかった男に言われ、ネルは疑問に思う。
ネ「シリアスって、僕が魔力五感損失症だからですか?それとも僕が死ぬとシリアスになるんですか?」
自分とは関係の無い者が病気になったり、死んでしまう事に気分を落ち込ませる人はいないだろう。
そんな人がいたら毎日落ち込んでいる事になってしまう。
「両方だな、お前がその病気であることがシリアスの原因にもなるし、お前が死んでしまったらもっと困る」
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