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ネルに遅れてカナが私を見ると、その目には驚愕の色が浮かび、ネルちゃんと同じ呪文を唱え出す。
やがて2人はお互いに顔を見合わせると、揃って此方を向き
カ「マリー!あんた魔力が!」
2人がワッ!と盛り上がり、私1人だけが話について行けなかった。
わかったのは2人が、”私の魔力”について盛り上がっていること。
カ「ーーんだ。って、マリー!なんで泣いてるのよっ?」
ネ「マ、マリー先輩!何処か痛むんですか?」
漸く頭に入ってきた言葉に目元を拭うと、紺色の制服に涙の跡が残り、今自分が泣いていることに気づく。
マ「あれ?何で私、泣いてるんだろ?」
拭っても拭ってもこぼれ出てくる涙に頭の中はぐちゃぐちゃ。
ううん。本当は私が気づかなかっただけで、体はわかっていたのかもしれない。
朝起きた時の違和感も、2人の会話も、体の方は理解し先に喜んだ。
何時もより軽い体、ポカポカする内に感じる力強い”何か”の正体を。
マ「これが……グスッ、魔力なんだね……」
色んな感情で埋め尽くされた頭では、涙の事もすぐに忘れてしまい
やがてぐるぐる回る思考は嬉しさで一杯となった。
今まで生きてきた記憶を一気に思い出し、
マ「カナぁ……、やったよぉ……うぁぁあああぁぁあん」
何時も一緒に居てくれた親友に感謝の気持ちが溢れ出す。
早い人なら学園へと向かい出す朝の学園寮に、周りを気にすることも出来なく泣き出した私を、親友が抱きしめてくれ、優しく「良かったね、本当によかった」そう言ってくれた。
ふと見えた景色は、キラキラと輝いて見えた。
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