自分の力量を知っておく事は大事。

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隣国との食事会の帰り、何時も和やかで綺麗な私の大好きな森で、そいつは突然現れた。 大きな体躯を赤色に染め、ギョロリと此方を睨む目と口から零れる炎。 身長の3倍はある翼を拡げ、此方を威嚇する様に鳴いた声は私の鼓膜をビリビリと震えさせた。 通常、この場所に現れる筈の無いドラゴン。 その強大な存在に、私の乗る馬車を囲む騎士達にも緊張が伺えた。 其処に統率性は無く、それぞれが焦りと絶望、そして恐怖に煽られ着けている鎧がガチガチと音をたてていた。 私も恐怖でいっぱいの気持ちの中、母から頂いたネックレスを握りしめてなんとか耐えようとする。 ドラゴンは弱いものでも10人の小隊を3つ使用し、攻め護り支援の陣で挑むのだと以前父から聞いたことがある。 ここに居る騎士達はその半数にも満たなく、腕こそ立つものの前提としてドラゴンの様な魔物は国にあるギルドが討伐する。 したがって此処には、ドラゴンを相手に戦った者など先頭に立つ初老の騎士以外に居なかった。 初老の騎士の名はガルーラ・ドルフィン。 若い頃から王国に仕える騎士で、その稀な才能を買われ騎士団長へとなった彼は、以前にドラゴンを1人で討伐したと言う噂もある。 本人にそれを聞いても「若い頃の話です」と苦笑いされるだけだったけど、今の頼みの綱は彼1人。 ドラゴンの攻撃に対し、魔法で防ぎ此方に被害を及ばさない姿は流石と言わざる得なかった。
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