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ガ「お前らっ!ワシが防いでおる内にミネラ姫を連れて逃げんかっ??」
ガルーラの叫び声に、オロオロとしていた騎士達の足が止まる。
ミ「なっ??ガルーラっ!貴方はーー
ガ「長くは持たんぞっ!早くしろ??」
再度ガルーラの叱咤が飛び、周りにいた騎士達が此方へと集まる。
「姫様!早急に此処から離れます!此方へっ!」
ミ「そんな…」
理屈ではわかっていたつもりだった。
騎士団長と言えど王女の私とでは、他のもの達からすれば命の重みが違う事を。
でも私からすれば、私自身何かをしたわけでも無く、誇れる様な事もないのだ。
周りと同じ人間、寧ろ1人でドラゴンと戦っているガルーラを失ってしまう方が国にとっては大ダメージなのでは?
躊躇ってしまった数秒とならない時間で、色々な考えが浮かぶ。
それがいけなかったのだろう。
ガ「グッ??」
ガルーラの苦痛の声が聞こえ、その後すぐに私達の真横を何かが飛んで行く。
そして一本の木にぶつかると、勢いを失ったそれは地面へと落ちた。
其処にいたのはガルーラ騎士団長。
ドラゴンの攻撃をまともに受けたのか、着けていた鎧のお腹の部分が凹み、倒れた状態のまま起き上がろうとしない。
死。
頭を過る最悪の答えを振り払う様に、彼の元へと走ろうとする。
「ぎゃぁぁぁあああ!」
男性の叫び声にハッ!と振り返ると、既にドラゴンが目の前まで迫っていた。
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