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そして城までノンストップで馬車を走らせ、そんな街を眺めるミネラの横顔を見て
王女って本当に大変だなー
と思った。
お金持ちで綺麗な服が着れる。
だから王女に成りたい!なんて奴もこの世には沢山いるだろう。
しかし現実は自由なき人生、その一言に尽きる。
毎日城から出る時は許可と護衛が付き、学園に通わずに城で教育を受けるため友達もできない。
城の者たちとは身分の違いから一線を惹かれており、多忙な両親と会えるのは食事の時のみ。
そして政略結婚。人生最大のイベントさえ自由がないとは……。
そんな一本道の人生を歩むミネラにとって、街の人たちはどう見えるのだろう。
嫉妬?憎悪?
いや、彼女がそんな事を考えるとは思わない…。
黒『羨ましいか?』
突然の質問に、ミネラはハッとしてこちらを見た。
黒『自由を許されない自分と比べ、あまりにも自由すぎる街のもの達は羨ましいか?』
ミネラは困った様に眉をハの字にして優しく微笑んだ。
ミ「そうですね、羨ましいです」
何故そんなにも優しく笑うことが出来るのだろう。
そこに嫉妬憎悪はやはり無い。
ミ「羨ましいですけど、やっぱり私は自分が王女だったことを嬉しく思っています」
黒『……どうして?』
ミ「優しいお父さんとお母さん、頼りになるお兄さんや心配性のお姉さんが居てくれますから」
あぁ、彼女は強いな。
でも
黒『それだけじゃないだろ』
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