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取り敢えず中に上がり窓を確認した私は更に驚く事になる。
なんと全ての窓が閉まっており、鍵までかかっていたのだ。
マ「クロ…」
クロを召喚した時の事を思い出す。
あの時クロは確かに念話と言われる魔法を使った。
でも、その後のクロの様子からあれは幻聴だったのかと思いだし、”非”日常を願った私の妄想だったのかもと思った。
指の怪我が治っていたのも、先生が治してくれたとか、単純に考えられるありふれた事だったんじゃないのか、と。
でも今回の事といいクロにはやはり普通の猫としてかけ離れた何か、秘密がある。そんな気がマリーの頭の中でグルグルと思考される。
マ「(もしかしたら、私やネルちゃんの事もクロが…?)」
私の腕の中で大人しくしているクロに疑惑の視線を送るも、クロは一つ欠伸をして眠たそうに目を細めるだけだった。
その姿は何処にでもいる普通の猫にしか見えず
マ「(考えすぎかな…?)」
マリーはいつの間にか寄せていた眉をパッと離し、何時もの優しげな笑顔を浮かべた。
マ「ほら、寝る前にご飯食べよう?」
今日もカナとネルちゃんが遊びに来るのだ。
マリーは腕をまくりながら張り切ってキッチンへと向かう。
マ「(でも、もしも本当にクロのお陰だったら……)」
”嬉しいな”
意図せず口から零れたその声は、マリー自身も気づかないほど小さなものだった。
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