ライオンは我が子を崖から落とすんだって

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ーーーーーー*ーーーーーー ギルド矛盾の地下に配置されてある転移魔法陣で、アルカディア王国から馬車で10日はかかる距離に位置する街”ブルーライト”まで一瞬で移動した私達。 初めて体験した転移に呆気を取られているうちに、矛盾ブルーライト支部の受付嬢と話を終らせたカブツさんに急かされるまま、私達は街から少し離れた山を登っていた。 山の名前は”サーランティス”。 そこは鬱蒼と生い茂る緑豊かな草木と、所々に大きな岩が存在するあまり人の手が加えられていない感じを受ける山だった。 勿論私達は今、道と呼べないような俗に言う獣道を歩いていた。 道が狭いため必然的に一列になる必要があり、前からカブツさん、クリアさん、私、カナ、ライケット君、レンディ先生の順番となって進んでいる。 カブツさんは所々に存在する分かれ道を迷う事なく、そして街から一定のペースを保ったまま軽い足取りで、時たまに後ろにいるクリアさんとの会話にも笑顔で答えながら登っていた。 クリアさんもカブツさんと一緒なのが嬉しいのか、普段の学校生活では見せない私からすれば別人のような笑顔で歩いている。 心なしか声も弾んでいて、本当にカブツさんと一緒なのが嬉しいのだと感じた。
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