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カ「ふぅ、少し疲れたわ」
カナが自分の足を揉みながら、いつもより疲労の混じった声音で呟いた。
マ「そうだね、思ってたより山登りってキツイかも」
私もカナを見習い、自分の足を揉みほぐしてみる。
あ、ここ気持ちいいなぁ。
私がどこを揉むと気持ちいいかとか、研究しているとカナがチラリと此方を覗いてきた。
カ「なんだか、楽しそうね?」
マ「へっ?」
楽しい…?確かに足も痛いほど疲れてるし、今すぐにでもベットへと飛び込みたい気持ちもあるけど……。
マ「うん。楽しいよ?」
自然と笑顔となりカナに返事をする。
マ「だって、冒険してるみたい!」
私の好きな、あの絵本の中へと飛び込んだみたいだから。
カナは目をパチクリさせて数秒止まった後、「そう言えばマリーは無類の冒険好きだったわ」と苦笑を零した。
それから、私達がまだ小さかった時の話。
冒険と呼ぶには些か小さな世界。
でも私達にとって大きな世界だった、街の探検をした時の話に花を咲かせていると、ふと視界に入った光景に私は目を奪われた。
それはまるで物語の一頁だった。
木々の隙間から溢れた光を浴びて、原っぱに無造作に存在する岩に腰をかけた物語の主人公が、メインヒロインとなる女の子と一緒に小休憩する。
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