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レ「なんで最初から教えなかった…」
ライケット君が再びカブツさんへとつっかかる。
でも確かにそうだ。
山登りが楽になると言うのなら、何も途中からじゃなくて、登り始める前に教えた方が良い気がする。
黒「知って欲しかったのさ」
その表情は何時もより少し真面目で、同時に悲しみを感じた。
黒「確かにこの方法を知っていれば此処までの時間を半分にも出来ただろう。だけど、君達はその分この辛さを知る事が出来た。常に魔力の余裕な状況なんて有り得ない。自分がもし、魔力枯渇状態(マインドゼロ)に陥った時に、この経験は君達を救ってくれる。この先、きっと今日の体験が活かされる日がやって来るさ」
最後は優しい笑顔で皆んなを眺めながら言った、カブツさんの言葉に私は一瞬でも楽をしようとした自分が恥ずかしくなった。
黒「それにさ」
カブツさんが再び話を始める、と耳を傾ける。
黒「自分の足だけで歩いたから、此処の風景も綺麗に見えたんだよ。それなら悪くもねぇだろ?」
…。
マ「…ふふっ」
もうなんだか見慣れてしまったその不敵な笑みに私は思わず笑ってしまった。
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