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平日の電車内でも乗客は疎らに居て、誰が引いたか知れないレールの上に、何の疑いもなく身を任せていた。
その様子は、さながら思考する事を忘れたようで、自分からは何も造ろうとはせず、ただただ、与えられた物を説明の通りに使い、何の疑いもなく歩む人生の縮図に見えた。
車内では、皆が一様にスマホを見つめている。
小さな画面に集中し、小さな世界に閉じ籠る。
まるで、そこが個室にでもなったかのように、画面の中の世界に没頭する。
既に周りは見えていない。
完全に隔離された小さな世界。
もしかすると、隣で人が死んでいても、気が付かないかも知れない。
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