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住宅街から少し離れた場所に、三階建てのビルが在った。
少女は、ビルの前にある公園へ行くと、自転車を止めた。
ビルの二階部分の窓ガラスには、どっかの家紋が金色にプリントしてある。
家紋は、菱形と鳥を象った物で、ちょっと威嚇される。
一階の駐車スペースには、ベンツとムスタング。
少女は、それらをぼんやりと眺めていた。
やがて、テケテケとスクーターの軽快な音が響き、ピザの宅配原付が登場した。
乗っているのは、きっちりピザ屋の制服を着た少女。
ピザの配達係りは、セーラー服の少女に片手を上げた。
「ユキ、お待たせ」
ユキと呼ばれた少女は、にこやかにお辞儀を返す。
その姿は、上品な印象を与えた。
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