13月03日

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最悪な気分で目が覚めた 未だに、オークを殺した時の感覚が、手から消えない。あの化け物を刺した時の感覚も、音も、イメージも、網膜に刻まれたように、失せてはくれなかった なにか、夢を見ていた気がした だけれど、思い出せない 「・・・・・・、っ」 寝汗が、酷かった。左肩がずきずきと痛みを発して、僕の寝起きの頭を暴力的に覚醒させてくる 一応、痛みを我慢して、傷口を洗って、ありったけの消毒液をぶちまけて、包帯でぐるぐる巻きにしてあるけれど、痛みは治まらないし、左腕も動かない 神経が根こそぎ、ぶち切られてしまっているのかもしれない 一度死ねばリセットされるのかもしれないけれど、僕にそんな度胸はないし、それに、僕は死にたくなかった 痛みをこらえて、ベッドから体を起こすと、ベッドの脇に立てかけられた青銅の槍が見える 次、死ぬときまで、おそらく、これと、包丁が、僕の武器だ あの後、オーク以外の何かと遭遇することなく、僕は家までたどり着けた。あのオークの咆哮で、魔物たちが集まってこないか、と内心心配していたのだけれど、問題なかったようだ どうやら、ここの魔物には、集まる、と言う習性がないらしい。あくまで、個人行動。単独行動が常である 街をひたすら徘徊して、人の気配を察知したら、襲い掛かってくる。そんな、単純なプログラムしかされていない だから、運が悪ければ、きっと多数を相手にしなくてはいけなくなるとは思うけれど、基本的に一対一が基本だと思っても問題ないだろう 「・・・・・・、それは、いいことなんだろう、なぁ」 ただ、未だこのゲームの、ゲームクリアの目途が立たないのが、これ以上なく問題だった 『ボスを殺せ』 文字化けメールには、そう書かれていたけれど、しかし、そのボスとは一体どんな奴なのだろうか。姿かたち、それすらもわからない 問題点は、山積みだ
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