序幕:暁闇

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   <暁闇>  初芝城とその城下はいつものように結界に守られた山で俗世と違う理で平和に包まれていた。  アヤカシの力を悪しき目的のために使おうとする六道より隠れていたのだ。  しかし、ある日一人の無垢なアヤカシとそれを騙した六道の手の者により、平和は突然打ち砕かれてしまう。  まだ陽も上がらぬ闇の刻、けたたましい半鐘の音で皆目が覚めた。  城下を守る兵たちの誘導で予てより定めていた通り、民は城へと向かう。  その中で町外れに住んでいた大戸屋は逃げる民を助けようと桶を持って鎮火へ。  病気の母と住む少年清太を助け、六道のアヤカシ兵と対峙する大戸屋。再会を約束して清太たちを逃がした。      山中では初芝の忍び衆である初芝烏たちが六道の大将・安綱を捜索しながら敵の戦力を殺いでいた。  烏の一人である桔梗屋皆無もまた、得物である鎖鎌を手に闇で舞っていた。  そこで知り合いの鬼であるお風の姿を見つける。  彼女は初芝の結界外で住まう者だが、ふとした切っ掛けから懇意にしている相手。  アヤカシの里の雲外鏡が六道の侵攻を知らせるために放った管狐と出会い、危機から逃れたばかりだった。  別れて逃げた後、響き渡る管狐の叫び声に立ち竦んでいたところ、皆無が見つけたのだ。  心を奮い立たせて彼女は皆無と叫び声のした方へと走る。  矢に貫かれぐったりとした管狐を手にした赤鬼と手下らしい青鬼を見つけ、お風は管狐の救助、皆無は六道を打ち倒す役目を果たそうとする。      管狐をアヤカシの里に連れ帰り、外へと出たお風は明け始めた空と青鬼の死骸、首が不自然な方向へ曲がった初芝烏、それは幸いというべきか知り合いではなかったが、少し離れたところに倒れた初芝烏を見つける。  片足を潰されたその者――義佐が言うには赤鬼は雑兵でなく、この地に封じられた鬼、大嶽丸の仮の姿で、その力は強大で斃す事叶わず封じるに留まったという。  長きに渡り封じられたせいで本来の力は失ってはいるが脅威には変わらない。  大嶽丸が復活した際の対処として陰陽師に渡された策も満足のいく成果は無かった。  そんな絶望的な状況の中、諦めようとしていた義佐を背負い大嶽丸と共に消えた仲間と、皆無を探しに行くのだった。
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