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城内、三の丸にて大石は民の誘導をしていた。
しばらくして巡回の者の帰りが遅いのに気づいて探しに出かけ、初芝の鎧に身を包んだ者と出会い、巡回はどうしたのかと尋ねる。
厠にと答えた相手にさりげなく合言葉を交えて会話するも、相手は気づかぬようで敵襲を知る事に。
笛で敵襲を周囲に知らせるも連れていた仲間は吹き矢により、行動出来ず一人で敵と対峙。
仲間と君主の安否が気にかかり、集中力を欠いてしまう大石。
腕に傷を負いながらも、駆けつけた神瞑に助けられながら眼前の敵を打ち倒した。
味方に紛れた敵がと戸惑う彼女に神瞑は己の勘を信じろと言い残して本丸へと向かうのだった。
禰々や琴姫などが住まう本丸御殿は淀んで噎せ返るような血の匂いが充満していた。
彼女らについていた女中の落とした提灯の火が燃え広がる中、気を失った禰々を腕に抱いた時継の姿があった。
六道の忍びの躯と欠片となって壁や床に散らばった女中たち。
片方の膝をつく時継の眼前には琴姫を腕に抱いた黒い男、安綱の姿が。
娘を返せと激昂する時継、六道に下れという安綱。
火と煙が広がりつつある状況に安綱が動く。
刀の一振りで竜巻状の氣を放つも時継には届かず、神瞑が身を挺して庇う。
時継はカッとなり刺し違えても娘を取り戻してやろうと考えたが『お前は生きろ』と残して気を失った神瞑の言葉にやりきれない想いが生じて行動に移すのは止め。
『娘はすぐに取り戻してやる。
必ず。…必ずだ。』
安綱の背に向かって感情を飲み込んで言葉を紡ぎ、相手が笑い声と共に闇へ消えれば天井を仰ぎ、色んな想いを懸命に制しようとし。
刀を収め、妻と友を担ぐと燃え落ちる本丸御殿から脱出をはかったのだった。
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