第1章

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考えてみれば、 誰にでも幸運が訪れるチャンスというものは 何度かあるのではないだろうか? 「幸運」を携えた女神は間違いなく 全ての人の扉をノックするのである。 そうした時、 「ラッキー」を手にする人間は、 快くドアを開け、 自分の中に招き入れ、 その幸運の尻尾を積極的につかみ、 しっかりと離さずにとことん引き寄せるパワーがある。   「アンラッキー」な人間は、 突然のノックに警戒して、 硬く扉を閉ざし、 頑として受け入れないか、 扉を開けても半信半疑でおそるおそる尻尾をつかもうか、 どうしようかためらっているから、 その間に気まぐれで短気な幸運は 逃げていってしまうのかもしれない。   この話の主人公も、 どちらかというと後者に属する人間と言えるだろう。 しかし、 そんな彼にも思いがけない幸運の尻尾は訪れるのだ。
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