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「トウモロコシが食べたい」
昨日彼女が突然言い出したデートの行き先だった。
「トウモロコシって公園で売ってるやつかい?」
5月になると大通公園ではトウモロコシの移動販売が始まる。
観光客の食べ物というイメージが強くて、いままで買ったことはなかった。
それに実家に帰れば腐るほどトウモロコシやらじゃがいもやら、たくさんの野菜が待ち受けているのでスーパーで買ったことすらない。
「明日は天気も良さそうだし行ってみるか」
そんなやり取りがあり、今大通公園に到着したところだ。
「寒いわね」
「天気は良いけど風が冷たいね」
5月ももうすぐ終わるというのに気温が低い。ジャケットを来ている人もたくさん歩いている。
「ほら、あれじゃない?」
彼女が指差す先にトウモロコシののぼりが見えた。
「そうだね、行ってみよう」
男の人が一人トウモロコシを買っていた。順番待ちをしている間に品定めをする。
とは言っても、茹でトウモロコシと焼きトウモロコシの二つしかないようだ。
オレ達の順番が来た。
いらっしゃい、おばちゃんの元気な声が公園に響く。
「焼きと茹でを一本ずつ下さい」
はいよ、と茹で釜から二本のトウモロコシを取りだし、一本を熱々の焼き網の上にのせる。
ジュッと言う音と共に焦げ目がついていく。香ばしい香りだ。
醤油ダレにつけてビニール袋に入れ、口の部分につまようじを刺して二本のトウモロコシが出来上がった。
「熱いから袋をもってね」
確かにまだまだ熱くて持てない。
「あっちのベンチにすわろうか」
風が冷たい公園だが人はたくさん来ている、音楽にのって踊る人や家族で噴水遊びをしている人もいる。
空いていたベンチに座り、やっと落ち着いた。
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