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イヤホンを着けて音楽を流しながらポケットに手を突っ込み、信号が青に変わるのを待つ。
オレは春日野春樹。普通の高校二年生だ。
いや、最近まで普通の人間だった。
「ねえねえ、死神って知ってる?」
「えー、何それー」
信号に並ぶオレの前で女子高生達が噂話を始める。
「人の魂を刈る最悪の存在だよ」
「へぇー、怖いねぇー」
興味なさげな一方の女を見て話題を振った女子は苦笑う。
「もっと興味持ってよ!」
死神なんてくだらねえ。そんなのいるわけないだろ。
………前までそう思っていた。
オレは神や神の類は嫌いだ。神なんて何もしないただの傍観者に過ぎない。人が苦しんでいる時には助けてくれない。助けられるなら今のオレを救ってみせろと思う。
信号が青に変わった。
歩道を数歩歩いた時、激しい耳鳴りと頭痛に襲われる。こういう時は必ず何かが起こる。
オレは辺りを見回す。
前の女子高生2人を確認すると、2人のオーラが黄色になっていた。それはどうでも良いとして、黒い首輪が2人の首に付いている。
あの首輪は2人の命が途切れる信号だ。
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