Counteroffensive-反撃の鯨波-

24/43
前へ
/90ページ
次へ
陣地跡を利用して全周警戒に隊員を割きつつ、一旦部隊はその場で停止した。 「こちらAlpha、West方面の敵陣地を制圧。現在待機中。」 『こちら本部、了解した。既にSouth.Pointから進攻したBravo隊が中枢地区まで進出、管制塔を制圧した。』 Bravo……則ち第2小隊。中崎の同僚、桐島康人 三等陸尉が率いる隊だ。 『Alpha隊は、そのまま随伴しているレイド・リーコン、機動装甲小隊と共に周辺警戒及び付近の建造物のクリアリングを行え。』 「了解、Alphaリードアウト。」 交信を終え、中崎はレイド・リーコンと共に制圧地域を振り分けを行った。 たった今制圧した陣地を拠点にして、周囲に点在する建物内の安全確認を開始する。陣地内には機動装甲小隊と、Alpha隊こと第1小隊、レイド・リーコンから各一分隊が残り、各々の残り三分隊、計六分隊がそれぞれのエリアへ制圧に向かう。 決して警戒を怠らず、何かあれば随時報告を入れるようにと各分隊長に念押ししてから、それぞれの部隊を送り出した。 その後残った隊員達に、陣地内での配置を指定する。指示を受けた隊員達が指定位置に散っていく中、中崎の側には隊員がもう一人残っていた。 「相模三曹、君はこのまま俺とここで待機だ。」 「あ、はい……了解です。」 衛生科の相模明日奈三等陸曹だ。自分はどうすればよいかとしきりに周りをキョロキョロとしていた彼女は、中崎に具体的な指示を受けて少し安心したようだったが、表情からはどこか落ち着き切れていない様子が滲み出ていた。
/90ページ

最初のコメントを投稿しよう!

430人が本棚に入れています
本棚に追加