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『全車発射用意━━撃てっ!!』
装甲小隊指揮官の覇気の籠った攻撃命令と敵陣からのロケット弾は、ほぼ同時に放たれた。
18式4両の砲塔側面に装備された多目的誘導弾発射装置から誘導ミサイルが一斉に放たれ、同時に敵砲手が構える筒からロケット弾が飛び出す。
誘導ミサイルは瞬く間に敵装甲車に突き刺さり、4両が同時に爆発、イヤープロテクター(耳を防護する物)が無ければ鼓膜が破裂していたであろう程の爆発音を響かせながら大破した。
そして同じタイミングで、18式4両にもロケット弾が2発着弾した。こちらも砲弾の爆発による轟音と衝撃で、被弾した18式2両が大きく車体を揺らした。
しかし、敵装甲車と同じように爆発することはなかった。今回中崎等と共に突入した装甲小隊は、対戦車弾による攻撃を想定して予め追加装甲が施されていた。
これは歩兵戦闘車には良く装備される簡要的な物ではあるのだが、携行型の砲弾が一、二発直撃しても車両自体の大破を免れる程の防御力がある。
装甲小隊指揮官は、その追加装甲があったが故に、ロケット弾の攻撃を無視して敵装甲車の無力化を優先するという判断を瞬時に下せたのだった。
現に攻撃を受け止めた18式2両の追加装甲は酷く破損し、車体表面にも爆発の凄まじさを物語るように装甲板が傷だらけになっていたが、被弾した2両はそれらを全く意に介さず機関砲の射撃と前進を無傷の2両と同じように再開した。
『敵装甲車を全て撃破。味方車両、作戦続行可能。このまま先導する。』
装甲車には太刀打ちする術を持たない中崎等は、自身の前を敵からの銃弾を弾き返しながら進む18式という支援戦力にこの上ない頼もしさを感じながら、それに続いて敵陣の突破を再開した。
「了解、助かった。各分隊、残りの敵兵を片付ける。一気に畳み掛けるぞ!」
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