Counteroffensive-反撃の鯨波-

21/43
前へ
/90ページ
次へ
━━同時刻. 「……クリア。」 中崎等が壮絶な銃撃戦を繰り広げているエリアから少し裏手に入った建物群。さながら都市の裏路地を連想させるような、影に覆われたその道を、市街地戦闘用迷彩服に身を包んだ集団が吹き抜ける風の如く音を立てずに駆け抜けていた。 中崎等から分離、敵側面を突かんと迂回していた、特殊作戦群.第1急襲偵察連隊、通称レイド・リーコンの隊員達だ。 第1急襲偵察連隊の作戦実行部隊は、二個普通科中隊・CRRCという強襲用特殊舟艇を運用する部隊からなり、隊員数は約460名。少数ながら隊員全員がレンジャー課程やスキューバ等の特殊技能を持つ、元西部方面普通科連隊の精鋭達である。 彼等は側面を叩くのに有効な2階建ての建造物を見つけ出し、屋内を制圧する準備を整えているところだった。 「ドアブリーチ(扉破壊)準備完了。」 建物一つ隔てたすぐ向こう側には、友軍を妨げる敵部隊がいる。その側面に位置するこの建物内に敵がいないとは限らない。レイド・リーコンの隊員達は、CQB(近接戦闘)体勢に入り、鉄扉の両サイドに張り付いた。 「点火用意━━点火!」 「点火!」 隊長の合図で、起爆装置を握っていた隊員が爆薬に点火。仕掛けられた爆薬は炸裂、鉄扉をその衝撃で屋内へと吹き飛ばした。
/90ページ

最初のコメントを投稿しよう!

430人が本棚に入れています
本棚に追加