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ベテランである桐生のそんな特異な振る舞いに、中崎は不思議な眩しさを感じていた。口調が丁寧だからといって、決して彼から威厳が感じられない等ということはなく、むしろその逆で。
流石に直属の部下には丁寧な言葉遣いは見受けられないが、それは決して差別等ではないだろう。彼と接している部下達の様子を見れば、桐生を心の底から敬愛しているのだということは一目瞭然だった。
桐生には何処か紳士的で、かつ精鋭の一翼を任される技量が備わっている。そんな彼に、中崎は2ヶ月前に共闘した米軍特殊部隊のウィル・ラグナー大尉とはまた異なる魅力を感じていた。
そんな桐生と時より周囲を見回したり司令部からの報告に耳を傾けつつ、待機を続けること約15分。
付近の制圧に向かわせた多数の分隊から、立て続けに報告が寄せられてきた。
陸戦、レイド・リーコン共に大半の分隊からは敵の残党無しという報告が届く。
そんな中━━
『━━こちらAlpha.第2分隊。』
最後の一分隊から他とは異なる報告が舞い込んできた。
その報告は、中崎指揮下のAlphaチーム.第2分隊、それを指揮する中崎の副官.直江春樹二等陸曹からのものだった。
『担当区域の制圧完了、途中敵兵とコンタクトし、その際1名を確保しました。こちらに被害はありません。確保した敵兵は右腕を銃撃で負傷、戦意喪失し我が方へ投降しました。至急そちらへ移します。』
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