Counteroffensive-反撃の鯨波-

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咄嗟に中崎が発したその声に、周囲の隊員達は一瞬固まったが、その叫びに含まれた意味を理解した瞬間、一斉に側にあった遮蔽物へと飛び込んで頭を押さえ込んだ。 ……その直後。 一同の頭を掠めそうなほどの位置を、赤い炎に包まれた物体が轟音を轟かせながら通過し、そのまま地面へ激突。 コンクリートで塗装された道路を抉りながら30mほど滑り続け、やがて摩擦力に塞き止められてその巨体は動きを止めた。 「ぐっ……皆無事か!?」 冷や汗を拭いつつ、中崎は体を起こして周囲を見回した。直接当たりそうな勢いではあったが、幸い怪我人はいないようだ。 それに対してホッと一息吐きはするも、業業と燃え盛る物体を確かめずにはいられない。 「直江、何人か連れて来い!他は待機だ!」 「了解。玉井!分隊を連れてこっちへ!」 直江が呼んだ自衛官が三名の隊員と共に中崎のもとへ駆けてきた。同時に桐生一尉も数名の部下を呼び寄せ、一同は突如降ってきた火の玉まで走り寄った。 駆け寄っていく内に、その影がくっきりと浮かび上がってくる。 「あまり近づきすぎるな。爆発が起こらないとは限らん。」 警戒しつつ近づくにつれて、徐徐に明らかになる影。至るところが破損し、とても完全体と同様の形を留めているとは言えないが…… 「……あの長いのは……翼……?」 「ああ……戦闘機だ……!」 隊員の足が自ずと速くなっていく。やがて間近までたどり着いた中崎達は、 至近距離でも無いのにも関わらず向かってくる熱気に、思わず顔を背けそうになりつつも、その戦闘機の顔を確認することができた。 「……隊長……」 それを見た直江が、眉間にシワを寄せて静かに一点を指差した。そこには、炎の向こうに僅かに浮かび上がる、丸く象られた己の国の象徴。 「ああ……日の丸だ……」 翼をもぎ取られ、無念にも地面へ叩き付けられたのは、航空自衛軍のF-15Jイーグルであった。
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